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笙野頼子による殲滅の記録②+もりもり自己強化への安堵の記録

『だいにっほん、おんたこめいわく史』
その都合の悪さ故に、手頃さ故に、侮蔑され、或いは黙殺され、封じ込められて来たものたち。自らを苦しめ、抑圧する敵の、卑劣さ、嫌らしさを暴くため、語り出す。おぞましき愚行と、抗戦の歴史を。怒涛、騒乱、止まることのない、言葉で。心を象るイメージの歪みにこそ、宿る熱。芯から人を馬鹿にしたような、嘲笑の色合いは、破壊の快さへ、怒りを根底に、悪意を着せ、凄みを帯びた戦いの軽快さの中、しばしば言葉より溢れ落ちる憎悪は、切実な痛みの象徴として、平穏に惚けていた心を奪い、狂騒の渦へと、一気に飲み込んで行く。
*今作もまた、不当を順当に戻すための、順当を勝ち取るための戦い、と言う印象。怒りを作品に昇華させる際に伴う苦痛や、怒り自体、憎悪自体を象るイメージは歪み、崩れていて、自分はそこが好きなのだけれども、理不尽な抑圧や黙殺への抗戦と言う、素朴、当然故に強固な根幹があるからこそ、存外に近しい安心感をもって、読むことが出来るのではないかと思う。

『おはよう、水晶―おやすみ、水晶』
その水晶は、自らの身を、守るためのもの。怒りに、悲しみに、沈み込まぬよう、自らを保ち、力を、弱まりつつある力を、湧き上がる力を、集め、蓄えるため、そこに在るもの。すべてうつすよう、その内に、注ぎ込んだ思い。戦い抜く心に満ちた、熱も。音もなく、魂を奪い取るような、喪失の痛みも。すべて、注ぐ。淀み、傷つき、歪みさえ、吸い込み、それでも、水晶は、穏やかに、佇む。それは、壊れぬ強さを思わせる、静けさ。喜びも、安らぎも、内包するが故の、静けさ。
苦しい。不穏を示す心に、直接触れるかのような、苦しみと、戸惑いがあった。だが、自らを守る試みの、強化する試みの、穏やかさに、激しさや、苛烈さを含んだ上で、叶えられた、意外なほどの、穏やかさに、しなやかな心の、息吹を感じ、決して崩されることはないと、僅かに、安堵する。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

あげこ

Author:あげこ
あげこ
女、1987年生まれ

読書感想中心。
矢川澄子、幸田文、森茉莉、武田百合子、津島佑子、笙野頼子、河野多恵子、岡本かの子、野上弥生子、皆川博子、津村節子、原田康子、村田喜代子、高樹のぶ子、高橋たか子、倉橋由美子、久生十蘭、室生犀星、武田泰淳、獅子文六…愛しています。

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