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滲み、淡い色を残す、言葉の柔らかさ、不確かな世界の愛おしさ 朝吹真理子作品の記録

『きことわ』
夢と現、それぞれより滲み出た色が、両者の領域を隔てる境目を超え、緩やかに、混ざり合う。淡く、穏やかな息遣い、そこは、確かなものではない、世界、不確かであるからこそ、愛おしいと、寄り添う世界。時に足場さえ、酷く危うげなものへと変わる、頼りない、その世界を歩む、浮遊感。知らず流れ行く時の、曖昧さに、身を委ねる、心地よさ。自由に生き続ける記憶たち、掴み得ぬ空白の時間を溶かして行く、記憶たち。今と過去を繋ぐ時は、音もなく、静かに、ほどけ出す。時間の、記憶の、光景の、不確かさを、確かな形を持たず、夢幻のように、流れ続けるそれらを、紡ぎ出す言葉の、柔らかな、肌触り。おぼろげな輪郭を保ったまま、浮かび上がる世界、その儚さに、しなやかさに、繊細さに、触れる。

『流跡』
記された言葉、記されたはずの言葉、その身に宿す、意味さえ放たぬまま、密やかに溶け出し、流れ落ちて行く。滲んだ色彩、言葉に宿るものの、色、解け、淡く残す跡。そこに「私」は居ず、ただ、生の温かさと、多くの淀み、緩やかに思いの形を、温度を、変えて行く、魂の柔らかさだけが、あった。本来決まった形を持たぬものたちを、綺麗なまま、純粋なまま、なぞり、紡ぎ出した故に、あまりにも無機質で、味気ない、きらめき。匂いも味も、美しさも醜さも、鮮やかに、心を襲いはしない。だが、言葉たちの響き、心を撫でる、連なりの表情は、滑らかで、微かに優しく、悠久を身に、流れ続ける肌に、驚くほどすんなりと、馴染んで行く。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

あげこ

Author:あげこ
あげこ
女、1987年生まれ

読書感想中心。
矢川澄子、幸田文、森茉莉、武田百合子、津島佑子、笙野頼子、河野多恵子、岡本かの子、野上弥生子、皆川博子、津村節子、原田康子、村田喜代子、高樹のぶ子、高橋たか子、倉橋由美子、久生十蘭、室生犀星、武田泰淳、獅子文六…愛しています。

どうぞよろしくお願いします。
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