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異形を秘するパサついた諦めと艶かしい饒舌 富岡多恵子作品の記録

『白光』
血の繋がりという、既存の結び付きを要さない、新しい家族の形を作り上げようと抱く、奇抜な信念。求める関係に付与するのは物語性、だが負った傷は生々しく、その痛みはひどく身近なもの。内にある理想と、外から見た現実。そこに生じる落差が、面妖な試みと、その結末に、遣る瀬無い、痛ましさを与える。語り手は試みの欠点も、そもそもそれが、実現不可能なものであることも、最初から、見抜いていた。甘さも冷淡さもない、ただ、他者の信じるものを、幻と糾弾するほど、子どもではないだけ。あけすけなようでいながら、自らの特殊性を隠すことに長けた語り手の、口数の多さ、辛辣で、軽快で、それでいてどこか、寂しさを帯びた言葉の熱風が、何よりも、心地よい。

『逆髪』
健全さを尊ぶ社会の中で、絶えず好奇の目に晒され続けなければならない、異形のものたち。手垢で汚れた幻想として、無理ある甘言として、彼等が打ち砕くものは、性を要する関係に抱かれがちな、美しき理想。何と言う身も蓋もなさ、その辛辣な言葉の勢いと、抉り出した本質の辛さに、まず圧倒される。互いの本心をけん制するために繰り返す、冗談の応酬。矛盾を隠した言葉のじゃれあいによって、姉妹の間に保たれた均衡は、危うくも強固。物言いは軽くおどけ気味、生きづらさなど、おくびにも出さないかと思いきや、語り手はそこに、自らの異形をしっかりと、潜ませた。器用なように見えて、その実不器用、異形という孤独に苦しんでなお、たくましく、鮮やかに、世界を生き抜く女性たち。痛快さへの憧れと抵抗感、同時に芽生えた快不快に刺激され、心はたまらずに、叫び出す。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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あげこ

Author:あげこ
あげこ
女、1987年生まれ

読書感想中心。
矢川澄子、幸田文、森茉莉、武田百合子、津島佑子、笙野頼子、河野多恵子、岡本かの子、野上弥生子、皆川博子、津村節子、原田康子、村田喜代子、高樹のぶ子、高橋たか子、倉橋由美子、久生十蘭、室生犀星、武田泰淳、獅子文六…愛しています。

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