スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

惰性、倦怠、常温、くすぶり、しあぐねる 清水博子作品の記録

『処方箋』

狭い空間に身を置く主人公の、日常という惰性。彼の世界は常に、生ぬるい。彼自身の熱量を表しているかのように、世界は常に、生ぬるい。日常が突如、奇妙に形を変えても、彼自身の熱量はそのまま。多少の機微こそあれど、彼自身はずっと、生ぬるいまま。言葉さえも煮え切らぬ生ぬるさを帯び、彼がおさまる世界の狭さを、日常の閉塞感を、したたかに、醸し出している。彼の日常に、ささやかな波乱を運ぶのは、不可思議な、女性たちの存在。それはいわば、緩急の、急の部分、そこだけが妙にねっとりと、色っぽい。波風立てぬよう、流される男の、惰性と倦怠感にまみれきった毎日、だがそれは、満更悪いものでもないように思えてならない。


『街の座標』

もてあます卒業論文と共に座礁しつつある女子大生の、あまりにも冴えない毎日。その身より滲み出る倦怠感は、彼女の心に張り付いた、怠惰な性分と、併せ持つ、ひどく生真面目な一面が、合わさって生まれたもの。熱意がないわけではない。むしろそれなりにはあるのだが、そもそもその熱意がどこから来るものなのか、どこへ向けるべきものなのかさえ、彼女にはわからない。くすぶり続ける情熱に行き場を与える気力はなく、かと言って、そのまま何もかもをうやむやにしてしまえるほど、無気力でもない。思いあぐねるとはまさにこれ。点と点は繋がらず、調子は終始低迷中、空回りの日々、堪らなく可笑しくて、僅かに苦い。

スポンサーサイト

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

あげこ

Author:あげこ
あげこ
女、1987年生まれ

読書感想中心。
矢川澄子、幸田文、森茉莉、武田百合子、津島佑子、笙野頼子、河野多恵子、岡本かの子、野上弥生子、皆川博子、津村節子、原田康子、村田喜代子、高樹のぶ子、高橋たか子、倉橋由美子、久生十蘭、室生犀星、武田泰淳、獅子文六…愛しています。

どうぞよろしくお願いします。
当ブログはリンクフリーであります。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メッセージ:

ランキング

FC2Blog Ranking

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。