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芝木好子『洲崎パラダイス』

足を踏み入れたが最後、二度と抜け出せはしない、華やかで醜い、薄闇の世界。ある者は自らの肉体と、その明達な嬌態を以って、男を食い物にする悦びを追い、ある者は艶やかに、狡猾に、心が欲するすべてを手に入れることに、自らの生の、幸福を見出す。だが最も鮮烈な印象を残すのは、身を崩した先の充足、開きかけた平穏への道を見据えながらも、こみ上げる情に逆らえず、自らに苦渋を強いる男を見限ることが出来ない、女性たちの姿。惨めな現状と、自らをそこに陥れた、男への怒り。終わりを選び取る気概さえ持たぬ、男の不甲斐なさを憎み、嫌悪してなお、断ち切れぬ情愛。穏やかな日々への憧憬よりも、ささやかな幸せすら、与えることが出来ない男の弱さを愛し、自ら情に絡め取られてしまう、業の深さ。愚かしくも強かな選択に満ちる哀感が、暗く、どうしようもなく、どろどろと淀んだ愛の、重さを思い知らせるよう、胸に沈み込む。

華やかな明かり、猥雑で、淫靡な匂い、生きるため足を踏み入れ、身を崩し、崩れるまま、抜け出せぬ己が身を気怠げに憂う、寂しさ。薄闇を満たすよう、色濃く流れる、哀しみや、退廃の色香。過酷な生へと誘い、そしてその生を選び取らせる、業の深さ。だが、際立つのは女性たちの強さであるように思う。ささやかなものでありながら、確かに息づくその輝きに寄り添うよう、言葉は女性たちの選択を、鮮やかに、浮き彫りにして行く。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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あげこ

Author:あげこ
あげこ
女、1987年生まれ

読書感想中心。
矢川澄子、幸田文、森茉莉、武田百合子、津島佑子、笙野頼子、河野多恵子、岡本かの子、野上弥生子、皆川博子、津村節子、原田康子、村田喜代子、高樹のぶ子、高橋たか子、倉橋由美子、久生十蘭、室生犀星、武田泰淳、獅子文六…愛しています。

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