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円城塔作品の記録 硬質な言葉の網、緻密なそこに潜む熱が煽る、快不快

『Boy’s Surface』
足場のない空間を漂い続けているかのよう。ひどく不安で、心細くて、だがどこか心地よい。次々と現れる言葉は皆、するりと指先をすり抜け、決して掴むことが出来ない。ほのかに残るのは、冷えた金属にも似た、馴染みにくい、硬質の手触りだけ。散りばめられた遊び心をうまく飲み込めないことへの引け目、劣等感を抱えたまま、それでもなお、硬質な言葉の冷淡さの中に潜む熱に、見た目に反して驚くほどの破壊力を秘めた手法の奇抜さに、同じ場所を延々と掘り進めているかのような、不毛なひたむきさに、心惹かれる。

『これはペンです』
奇抜で突拍子もない様々な手法をもって、書くという行為にまつわる既存のイメージを、冷静に、そして淡々と、壊しにかかってくる。受け入れ難い遊び心に誘われる焦りと戸惑い。身体が咀嚼することを拒んでいるかのような違和感。ひどく落ち着かない。だが当然のように、当たり前のこととして抱いていたイメージの不確かさを指摘する、その手法のユニークさ、そしてその辟易してしまうほどに執拗な追い込み方に感じるひたむきさはとても魅力的。珍味異触(ガムのよう)無臭、食べ辛い作品であった。

硬い壁面に穴を開け、そこばかりを延々と掘り進めていくことにも似た、不毛なひたむきさ。ただひたすらにその場で石を積み上げていくことにも似た、危うさ。物の形がはっきりと見えず、ぼやけてしまうときのそれに似た、もどかしさ。それらをぼんやりと感じたまま、快不快の間を漂う。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

あげこ

Author:あげこ
あげこ
女、1987年生まれ

読書感想中心。
矢川澄子、幸田文、森茉莉、武田百合子、津島佑子、笙野頼子、河野多恵子、岡本かの子、野上弥生子、皆川博子、津村節子、原田康子、村田喜代子、高樹のぶ子、高橋たか子、倉橋由美子、久生十蘭、室生犀星、武田泰淳、獅子文六…愛しています。

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