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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

最近のアレコレ⑫ 『シンデレラの罠』、『とどめの一撃』の記録

最近読んだ本、二冊の記録。

セバスチアン・ジャプリゾ『シンデレラの罠』
私が誰であるか、誰であったのか、不明瞭なまま、私がいる、不穏さ。誰であるのかわからぬまま、演じ、貪り、惑う、私であることだけが、明瞭さを帯びて行く。馴染まぬ記憶、ひどく冷たいと、凍える身体。愛されるもの。愛されぬもの。多くを課せられ、多くを投げかけられ、歪にその形を変えてしまう、物語の怖さ。不安定な場所を、彷徨い続けることへの不安は、僅かに甘さを伴うもの。私を物語る、私の不確かさ。信じられぬ語り手、その危うさ故に、蠱惑的な物語。

マルグリット・ユルスナール『とどめの一撃』
近く、静かな死に囲まれ、不穏に澱む時間。閉塞的であるが故に、感情は熱く、陰惨に溢れ出で、互いを飲み込んで行く。燻り、凍え、残酷に捻れてしまう、友情と愛。擦らせ合い、高まり、愉しみ、深く結びついては、また、傷つけるよう抉り、離れる。滞る様は醜く、哀しい。寄り添うことを求めるのではなく、ただ、生身の視線を、その場にとどまり続けることを、望むような、饒舌。自ら進み、引き寄せられた最期、悲劇の鮮やかさに、彼等より与えられ、重く蠢いていた憂いはいつの間にか立ち消え、今はひどく、渇いている。

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獅子文六『七時間半』

あっという間の七時間半。何という楽しさ。もどかしかったり悶えたりワクワクしたり。心、ずーっと踊りっぱなし。それこそもう、魅力的な人しかいない。みなそれぞれがいい働きっぷり、うまいこと、いい按配に動き回って、賑やかに、華やかに、最後まで、列車とお話を運ぶ。
ヒロイン同士のバチバチ。当て馬、かませ犬の空回り、愚直男の浮き沈み。歯痒く絡まる恋模様がまた何とも可愛らしくて、堪らない。考えあぐねてもやもや、心は勝手に沸騰し始めてしまうし。更にどきまぎ、引き出された凡ミスまで可愛い。そして恋路を妨げるよう、ざわつく乗客の声を経て、列車全体に広がって行く不安…。
しかし、非常事態にこそ、決意は清々しく形を変えたりもするもの。会計さんかっこいい。どうしたって好きにならずにはいられない聡さ、潔さ。あの諸々吹っ切った瞬間の清々しさたるや…!会計さんかっこいい。ウメコ様も後半の方が素敵。
ハラハラ後安堵、あっという間の七時間。何て心地よい賑やかさ。わいわいと近しくて、馴染み深い賑やかさ。好ましからざる煩さではなくて、うんざりすることさえ忘れてしまったほどに、よく知っているような、近しくて、馴染み深い賑やかさ。なんて居心地のいい時間、なんて愉しい時間、その分降りてしまうのが寂しい…!

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最近のアレコレ⑪

先日28歳になりました。なりたてほやほや。これからもたくさん本を読んで生きていきます。まずは友人からのプレゼント、アンナ・カヴァン『アサイラム・ピース』と、タニス・リー『悪魔の薔薇』から!

そう、アンナ・カヴァン良過ぎて『われはラザロ』も買ってしまったのでした。なんと陰惨な苦しみでしょう、なんと痛切な哀しみでしょう。危うさと不穏に満ちた世界、自らの在る世界を象る言葉の、象るそれらの、なんと鮮烈なことでしょう。鋭く、その硬さを崩すことのない響き。迫り来るもののわからなさ、見えざる敵への恐怖、緩みさえ持つことを許されずにいたものの、頑なさ。身勝手にも寄り添い、自分はそこに快さを、美しさを、躊躇いを越え、捉えてしまう。すごくいい。大変楽しみです。

今日買った靴の履き心地がふっかふかで嬉しい。それまで履いていた靴はまるで板のよう。あとはそれに似た履き心地のサンダルを買わねばなりません。去年買ったサンダルも多分、それに比べればまるで板のよう。

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『ヴァージニア・ウルフ短篇集』雑感

ごく僅かな時間を、一瞬を。多くを伝える感覚を、呼び起こされる情景を。広がりを、或いは、滞りを。自らの内で、悠然と変化する様を。奥底まで潜り、ようやく触れることが出来るものたち、諦めぬよう、緻密に、繊細に、言葉を縫い合わせ、出会いを、邂逅の場を、作り上げて行く。
潜り続けるその先、深淵に横たわるはずの、死の薄さ。遠さ。暗く、不安定な内の、危うい深さまで沈み込んでいながら、重厚な響きを受け取るよう、強く感じているそれは、死の気配ではなく、むしろ、自らの属する生の多く。生に織り込まれた、多く。
散らばり、雑然と広がるイメージ。だが、手繰り寄せてみれば、不確かなまま、確かに、見出すことが出来る繋がり。不可解さをまとういくつもの結び目、繰り返し波及する違和感、淡い困惑の中にあってこそ際立つ、言葉そのものの美しさ。潤い、輝き、豊かに息づく言葉たちの。象られたものたちの印象を、自分自身がかつて、気ままに形作っていたそれを、すべて塗り替えてしまうほどの、美しさ。
滑らかであるばかりではない、その感触。いくつもの憂い、いくつもの苦しみを含む、色、音、流れ…重なり合い、巡る、生の暗さ、そして、僅かな明るさを、感じ取る。茫漠と滲む戸惑いの中にこそ、咀嚼し難い、手強さの中にこそ。だからこそ、時に不快を捉えてなお、心惹かれる。

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プロフィール

あげこ

Author:あげこ
あげこ
女、1987年生まれ

読書感想中心。
矢川澄子、幸田文、森茉莉、武田百合子、津島佑子、笙野頼子、河野多恵子、岡本かの子、野上弥生子、皆川博子、津村節子、原田康子、村田喜代子、高樹のぶ子、高橋たか子、倉橋由美子、久生十蘭、室生犀星、武田泰淳、獅子文六…愛しています。

どうぞよろしくお願いします。
当ブログはリンクフリーであります。

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